【エッセイ】ユーフォニアム奏者・今村耀の『音楽とお茶の愉しみ』第1回






 

埼玉県入間市を拠点に幅広く活躍されているユーフォニアム奏者の今村耀さん。

紅茶好きでもある今村さんが『音楽とお茶の愉しみ』をテーマに徒然と語るエッセイです。

ごゆるりとお愉しみ下さい。


ユーフォニアム奏者・今村耀の『音楽とお茶の愉しみ』第1回

朝起きて、携帯を見て予定をチェック。この日の仕事は東京での劇伴収録でした。
いわゆる、ドラマ・アニメなどの映像作品や、演劇などの舞台作品の中で流れる音楽のことです。まだ時間はあるし、ちょっとさらってからのんびりでかけよう。ベッドからからだを起こし、お湯を沸かして、100℃に達するまでの間に身支度を整えます。10分くらいでお茶を淹れるところまでたどり着き、今日はどのお茶にする?ティーコーナーからその日の気分で茶葉を選び、適した方法で注いで一口。

こうして、私の一日は始まります。

ユーフォニアムを出し、楽器のごはんでもあるバルブオイルをピストンにたゆたゆして栄養補給。元気になった楽器でゆったりとロングトーンから準備体操。私も楽器も少しずつ起きて、ばっちりと目が覚めたところで譜面台に楽譜をのせます。
ちょっとジグをたくさんやりたいな。と思ったので、6/8の曲を色々と用意。
ジグというのはアイルランドの踊りの音楽で、私はフィドルでの演奏を聴くとますますからだを動かしたくなってきます。ジグは9/8などいろいろな拍子がありますが、今日は6/8だけにとどめて、軽快に進めていきます。
演奏するときに気を付けることはたくさんあるけれど、毎日いろいろな案が駆け巡り、試して、また新しく思いついて試しての繰り返しです。民族音楽といわれる分野では、特にスタイルの違いが大きく影響してくるので、色々なものに触れてみると楽しいが広がっていって、新しい発見が多く、他の分野にも広げて応用することができるのでとても大好きです。

こうして楽しく発見を続けているとタイムリミットは迫ってくるもので、出かける前にお茶を一杯。
アイルランドの音楽を演奏したので、紅茶を飲んでから出かけます。世界で最も紅茶を飲む国ともいわれているアイルランド。その歴史的背景を調べると紅茶をものすごく重視しているのではないか?と思える情報がたくさん出てきます。

この日はミルクティー。

CTCというペレットのような見た目になったアッサムを使います。
沸騰させたお湯に対応した量の茶葉を入れたらボコボコと沸騰しない程度に火加減にしてしっかりお茶を抽出。それからお湯と同じくらいか少し多い程度の量の牛乳を注いで再び火を強くしていきます。お味噌汁と同じであまりにも強く火にかけると風味が飛んでしまうので、熱が通る程度にとどめ、少し蒸らしたらお茶の時間です。
アイルランドの人はこうやって紅茶を飲んでいるんだなぁ。などと思いつつ、熱々のミルクティー。
音楽と衣食住はリンクすることも多いので、ちょっと真似したり、体験してみるとなんとなくイメージがつかめたり、お茶の淹れ方はみなさん様々なので、音楽と同じで味や香りに少しずつ個性が出るのも好きなところかもしれません。

この日のお仕事、劇伴収録が終わりご自身も大学でユーフォニアム専攻であった作家さんの一言。
「ユーフォ吹きのユーフォ吹きによるユーフォ吹きのための音楽」
エンジニアさんもユーフォニアムをやられる方で、それはそれはもうそこにいる人のかげにユーフォニアムが見えるような見えないような。
ここまでユーフォニアムがフィーチャーされる劇伴というのも珍しく、ミルクティーよりも炭酸シュワシュワのドリンクでも飲んでいけばテンション高めになれたかしら?そうおもう現場でした。
ユーフォニアムだらけ。放送が楽しみですね。

みなさんと別れてから、年明けに行うクラシックライブの詳細を携帯でチェック。ペアのユーフォニアム奏者が選んだ「パナシェ」は年始にふさわしい華やかな曲。
パナシェはユーフォニアムの曲としての人気も高いですが、一般に広く知られているのは大人専用のとても美味しいドリンクとして。
結局、私はこんなメッセージを送ってしまうのです。

「ねえねえ。今度、うちでリハーサルするときにパナシェ飲まない?」


優雅な時間を過ごしていただけましたでしょうか。次回もお楽しみに。

今村さんのTwitterアカウントはこちらです。
(@euph_yoh)
https://twitter.com/euph_yoh

今村さんには以前にWind Band Pressでインタビューも行っていますのでそちらも合わせてどうぞ。
https://windbandpress.net/12419


※この記事の著作権は今村耀氏に帰属します。


【今村耀 プロフィール】

埼玉県入間市出身。埼玉県立芸術総合高校音楽科卒業。成績優秀者卒業演奏会に出演。日本大学芸術学部を経て尚美ミュージックカレッジ専門学校コンセルヴァトアールディプロマ科を修了。大阪国際音楽コンクール部門最高位他、多数受賞。 2015年「ニコニコ超パーティー2015」出演。2016年日本ユーフォニアム・テューバ協会会報にダブルベルユーフォニアムの演奏が掲載。ヤマハ演奏支援アプリ≪ふこうよアンサンブル~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~≫(響け!ユーフォニアム)開発に演奏提供。2017年2月に同アプリVer.2と書籍第二弾のリリース記念イベントにてオープニングアクトとユーフォニアム独奏によるデモンストレーションを担当。YAMAHA・AI合奏システムと国際イベント「デジタルコンテンツエキスポ2017」で共演。地元・入間市民吹奏楽団の定期演奏会にソリストとして出演。2018年吹奏楽雑誌「Wind-i mini vol.39」巻頭インタビュー掲載。ユーフォニアムなどの金管楽器の個人指導から吹奏楽指導、楽器講習会講師もおこなっており、メディア出演も多く、希少価値の高い古楽器演奏者としても話題を呼んでいる。ASKS Windsより編曲譜出版中。 Ensemble PETS、小江戸ウインドアンサンブル、moiphics、ですカル!各メンバー。




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